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【書評】OKRシリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法 OKRの活用法とKPIとの違いを解説

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最近、OKR(オーケーアール)という言葉をよく聞くようになった方も多いのではないだろうか。

僕もその1人で、KPI(Key Performance Indicator、ケーピーアイ)の概念に代わるマネジメント手法の1つだと思っていたが、実際はそれが何なのか、どうやって活用するのか、またKPIとの違いが何なのか、いまいち理解できていなかった。

本書『OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』は、OKRの概念の理解と実践的な活用方法が理解できる、良書だと思ったので、内容を踏まえてOKRの活用方法をご紹介したい。 

OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

  • 作者: クリスティーナ・ウォドキー,及川卓也(解説),二木夢子
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2018/03/15
  • メディア: 単行本
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OKRとは何か? 

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OKRを導入している企業の代表格としてGoogleが有名だが、それ以外にもLinkedIn、Twitter、ジンガといったテックジャイアントも導入していることで知られている。日本では、メルカリがOKRを独自にアレンジして導入していることもご存知の方もいるかもしれない。

まず、本書に記載されているOKRとは何か、その基本的な内容を引用したい。

・OKRはObjectives and Key Results(目標と主な結果)の略だ。

・OKRにはある程度標準化された形がある。Oは定性的なものをひとつだけ、KRは定量的なものを3つくらい決める。これらを使って、グループや個人を大胆なゴールに集中させる。

・Oは一定期間(たいていは四半期)のルールを定める。

・KRは、期間の終わりにOを達成できたかどうかを判定するのに使う。

1つのO(目標)と3つのKR(主な結果)を設定するだけなのだから、とてもシンプルで簡単だ。組織の大きさにもよるが、まず全社でOKRを設定した後、全社ORKにもとづいて部署毎・チーム毎にOKRを設定し、最後に個人OKRを設定する流れとなる。

もう少し詳細に、OとKRの設定のコツを押さえておこう。

O(Obective)の設定方法

・定性的で人を鼓舞する内容にする

・時間的な縛りをつくる

・各チームが独立して実行できるようにする

Oの設定は、とにかく組織が1つの目標にフォーカスできるよう、1つのシンプルかつ達成に向けてモチベーションが上がるものにしなければならない。

たとえば、本書の前半はスタートアップの物語となっていて、読者がわかりやすくOKRを理解できるよう解説されているが、その事例では、

外食産業向け食品納入業者に対して、高級茶プロバイダーとして明確な価値を示す

と設定している。

また、原則として、Oには数値は入れないことを、本書では推奨している(ただし、本書解説の及川卓也氏によれば、Google社では運用方法が本書とはやや異なっているとのことだ)。 

KR(Key Results)の設定方法

・KRでは、感覚的な言葉を定量化する(数値で表す)

・「どうやってOを満たしたとわかるのだろうか」というシンプルな問いを立てる

・KRの基準は、測れるものなら何でも構わない。たとえば、次のようなものだ。

 ・成長率

 ・エンゲージメント

 ・売上

 ・性能

 ・品質

・達成できる可能性は五分五分でなければならない

ポイントは、一定期間後(毎週金曜日、1ヶ月後、四半期後など)にレビューする際、達成できたのか未達成だったのか、測定可能であるということだ。そのために、KRは数値化する必要がある。

ただし、あまり細かな指標を持ち出すべきではなく、あくまでもOを達成するために不可欠な主な結果(=KR)を設定したい。

 

なお、OKRに関する説明は、下記スライドがシンプルでもっとも分かりやすかったのでシェアしたい。

OKR from Soyeon Lee 

KPIとOKRの3つの大きな違い

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さて、目標管理手法としてKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を用いているビジネスパーソンも多いのではないかと思う。そこで、KPIとOKRの違いは何か、それらは両立し得るのかについて考えてみたい。

まず、KPIとOKRの違いとして、大きく以下の3つではないかと考える。

ゴールの設定

KPIのゴールはKGI(Key Goal Indicator, 重要目標達成指標)と呼ばれる場合が多く、その多くは売上目標になっているのではないかと思う。この場合、目標は、予算やノルマと呼ばれることもあるだろう。

具体的には、「今月のKGIはチームで1,000万円だ。内訳はAさんBさんCさんDさん、4名でそれぞれ250万円ずつの予算だ」となる。

一方で、OKRのゴール(O)は、本書の言葉を借りれば「ダイナミックで具体的な形があり、従業員を毎日鼓舞するものでなければならない」というものだ。

イメージとしては、「予算200万円」と言われると、従業員はやる気が出るどころか憂鬱な気持ちになってしまいかねないが、「人材業界で自社の存在感を高める」などと設定すると、やる気が湧いてくるのではないだろうか。

このように、ゴールの設定の仕方が明確に異なっている。

背景にある哲学

ゴールの設定の仕方だけでなく、OKRの背景にある思想・哲学も、KPIとは大きく異なっている。

KPIは、ひとことで言えば、パフォーマンスを定量的に評価する仕組みである。上司が部下の業績を評価するのだから、ベクトルは自然とトップダウンになる。

また、KPIは、細分化しようと思ったら、どんどん指標を細かく設定し、管理することができる。売上目標のKPIは、口頭OK→商談→顧客訪問→アポイント数…という具合に。

場合によっては、1時間当たりのコール数まで管理することもあるかもしれない。しかし、果たしてそれが管理する側もされる側も、ワクワクするような仕事だと思えるだろうか。

ORKは、社員を鼓舞し、個人および組織の能力を高める仕組みである。1つのOに対して3つのKRのみ設定するので、細部の指標は盛り込むことはできない。また、全社OKRは経営陣が主導して設定するとしても、部署毎のOKRはマネジャー・メンバーが議論して設定する。そのため、トップダウンとボトムアップの両方のベクトルになる。

背景には、人に任せる、人の能力を信じるという哲学・思想が横たわっていると考えている。

本書でも、

上長がすべてを把握していることを前提にした、下向きに硬直しきった流れを改めよう

と指摘している。

カバーする主な対象範囲

これまで、KPIは主に営業組織に活用されてきた歴史があると思われる。僕が所属してきた組織でも、事業領域は違えど、営業組織(ビジネスサイド)はすべてKPIで管理していた。

一方で、OKRは、すべての部署に有効だ。とりわけ、もっとも大きな効果を発揮するのはプロダクト・チームだと、本書では記載されている。

プロダクト・チームは、様々な職能のメンバーが集まっている。プロダクトマネジャー、プロダクトデザイナー、データサイエンティスト、各種エンジニア、事業開発など。こういった複雑な職務領域を有するチームをKPIで管理することは困難だろう。

OKRは、チームの共通の目標が明確にすることで、目標達成のために実現すべき結果がフォーカスされ、仕事の優先順位がクリアになり、また他者とのコラボレーションが促進する。こういった点が、OKRが支持される要因だと思われる。

ただし、プロダクト・マーケット・フィット(PMF)が見つかっていない初期段階は、短期的な変化が激しく、目標が二転三転する可能性があるため、OKRの活用は本書では推奨されていない。

OKRの実践方法

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ビジネスでの活用方法

四半期タームのOKRを設定したら、その達成に向けて進捗を進めていかなければならない。本書で紹介されているルーティーンは、以下のようなものだ。

・毎週月曜日に、 チームでチェックイン・ミーティングを行い、OKRの進捗を確認し、目標達成に向けたタスクにコミットする

・特に、今週の優先事項として、3〜4つのタスクを挙げ、やるべきことをチームで共有する

・金曜日は「ウィン・セッション(勝者のセッション)」を開催する。ここでは、チームに見せられる成果はなんでも見せあう。たとえば、コードやモック、提携相手の交渉状況や売上の進捗など

・その際、ビールやワイン、ケーキなど、チームの好みにあった飲食物を提供することだ大事だ。チームが必要とされていると感じられるためだ

・ウィン・セッションでは、努めて明るい雰囲気で行うことが重要。そもそも、OKRはは五分五分で達成できそうな高い目標を設定しているので、毎回達成していたら、目標設定が誤っている可能性がある

個人での活用方法

本書の解説で、及川氏は、ORKは夫婦間の関係の改善にも役立つと記載している。これはとても面白い視点だと思った。たしかに、Oを在りたい関係性に、KRをデートの回数などに設定すれば、良い関係が築けそうだ。

副業など、個人プロジェクトや個人の人生にも適用できそうだ。特に僕の場合、往々にして、仕事以外のプロジェクトは継続性が低く、途中で投げ出しがちになってしまう(毎日ブログを書く、等々)。OKRを設定すれば、フォーカスすべき目標と結果を明確にでき、継続性が高まりそうだ。転職活動に適用しても面白いだろう。

まとめ

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OKRは、ワクワクする目標の実現に向けて、仕事だけでなくプライベートでも、組織だけでなく個人にも適用可能な、シンプルで強力なツールだと思う。ぜひ使いこなして、在りたい姿(O)を実現していきたい。 

OKR(オーケーアール)

OKR(オーケーアール)